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アルトナーエンジニア

燃料電池の一連の開発は一つにつき、大体5年ほどを要するプロジェクト。そこには膨大な制御が組み込まれています。

水素と酸素を化学反応させて発電を行う燃料電池を搭載した自動車は、まだまだ進化してゆく分野です。この燃料電池のプロジェクトに携わっているT.Y.さん(以下:Tさん)は今、これまでの経験を活かして、プロジェクトの進め方や検証の仕方の提案、検証そのものの精度を高める取組みを行うなど、プロジェクトの中心になりつつあります。不具合も予期しないことも多々あるものの、それらを如何に克服していくのかを考えながら、燃料電池の制御を通して、最終的にカタチあるモノを仕上げていくことに大きな魅力を感じています。
(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

Profile

ハイバリューグループ
ソフトウェア モデルベース エキスパート T.Y.

大学院理工学研究科 電気電子工学専攻
2014年新卒入社 30代
〈役職・年齢・業務内容等は取材時のものとなります。〉

高校生の時からモノづくりがしたかった。
大学では有機ELを作る新たな方法を研究していました。

高校生の時からモノづくりがしたかったTさんは、大学の理工学研究科に進学し、大学院では電気電子工学を専攻していました。その大きな理由は、ソフトウェアにも機械にも興味があり、それらの真ん中の位置にある電気系を選択すれば、そのどちらにも携われると考えたからです。

そこで取り組んでいたのは、ディスプレイに使われる有機ELの研究です。考えていた通り、大学の電気系では、様々なシミュレーションや高電圧の研究など色々なことに取り組んでいたのですが、やはりモノを作りたいという気持ちが大きかったTさんは、材料系の研究室を選んだのです。

ちょうどそのころ世の中では、すでに有機ELは作れてはいたのですが、その作る方法に問題があったので、他の方法で作れないかを探るという研究です。有機ELも、材料とはいえ実際の原理はダイオードとなので、作るには電気的な知識が必要な電気材料なのです。ここでTさんは、その有機ELを作る他の方法に、最終的には出会えるという貴重な経験をしています。

様々な分野の志望企業を訪問し、最終的にアルトナーに就職。
決め手は、アルトナーという会社の「パートナー感」にありました。

高校から大学まで、色々なことがやりたいというTさんの気持ちは変わることがなく、就職活動も一番始めにやりたいと思った医療系はもとより、研究していた電気材料、あるいは半導体、自動車など様々な分野の志望企業を訪問します。2014年当時、電気系の学生はどの分野でも引く手あまたでした。加えて、どれが一番と決めるのも難しいほど何処を訪問しても、そこの仕事は魅力的でやってみたいと思ったのだそうです。

そんな中、就活サイトで「アルトナー」をたまたま見つけたのです。よく読んでみると、そこには「いろんなメーカーの最前線で働ける〜」と書いてありました。もしかすると自分の希望している働き方に一番合うかもしれないと考えたTさんは、アルトナーの説明会に出向くことにしたのです。

ひとまず他のエンジニアリング会社も受けてはみたものの、比べてみると、アルトナーには他とは違う大きなアドバンテージがあると感じ入社することにしたのです。そのアドバンテージとは、一つには、自分がスキルアップするための研修や、勉強していく環境が用意されていて、メーカーへの転職さえも支援しているということ。それと一般的な派遣会社との違いなどを、採用担当者に親切に説明してもらう中で感じた、アルトナーという会社の「パートナー感」です。

初めての仕事は、自動車に搭載するインバーターの評価試験。
そこで学んだのは、技術の前に技術者としてのあり方です。

入社後のフォローも手厚く、Tさんは大阪にあるラーニングセンターでの2か月ほどの研修では、電気系のエンジニアとして、大学での知識のおさらいをしながら、回路を組んでみたり、はんだ付けしてみたり、ソフトウェアを一から学習するなど、設計開発の基礎的な部分を実践的に学びました。Tさんは、こうした研修は自分にとってかなり重要なものだったと考えています。

Tさんは、初めての配属先では、自動車に搭載するインバーターの評価試験を行いました。設計開発そのものではありませんが、評価試験も大事なその一部であり、プロジェクトリーダーや先輩や沢山の人と関わり合わないと完結できない現場という意味では変わりません。ここでは、そういった現場でのコミュニケーションのとり方、スケジューリングも含めた仕事の進め方など、技術の前に技術者としてのあり方を学んだそうです。今のTさんにとって、部下に対する教え方などの参考としても役立っているそうです。

燃料電池の開発におけるモデル開発と検証の仕事とは?

次に配属されたプロジェクトでは、燃料電池の開発です。そこで最初に携わったのは燃料電池のモデル開発です。仕様に基づく設計概要を策定し、それに沿ったかたちでモデルを作ります。モデルと言っても物理的な実機などではなく、今では自動車業界では一般的になっているコンピューター上に存在し、動作させるシミュレーター用としてのモデル開発です。それを先輩に教わりながら進めていきました。

それを半年ほど経験し、今度はその出来上がった様々な役割を持つモデルを、すべて組み合わせた一つのソフトウェアにし、コンピューター上で動作させて、評価・検証する現場に移ります。この検証における考え方や、どういう視点で試験をすべきかなど、沢山のことを先輩たちから学びながらプロジェクトを進めていくのです。

自動車の動作・挙動などを考えて、
有りうる全てのパターンをシビアに検証していきます。

組み上げた燃料電池の制御をシミュレーションし、ちゃんと動作するかを検証します。こうしてソフトウェアのバグや不具合を改修してより完全なものに仕上げます。実際に自動車に搭載して不具合があると、大変なことになりかねないので、Tさんは、自動車の動作・挙動などを考えて、有りうる全てのパターンをシビアに検証することを心掛けています。

それだけ緻密でシビアな燃料電池の一連の開発は一つにつき、大体5年ほどを要するプロジェクトになります。実機になるまでに約2年、実機にしてからの検証も含めて約3年もの時間です。こうしてTさんが実機として、その自動車に初めて乗ったのは2017年のことです。「できたときはやっぱり、『おおっ』て思いましたよね。自分たちがモデルを作りソフトウェアにしたものが、本当に自動車に詰まれて動いてるっていうことに感動しました。」これがTさんのその時の感想です。

燃料電池の制御を通して、
最終的にカタチあるモノに仕上げていく魅力。

普通のガソリン車とは違い、水素と酸素を化学反応させて発電を行う燃料電池を搭載した自動車は、まだまだ進化してゆく分野です。2つめの燃料電池のプロジェクトでは、Tさんは起ち上げから携わり、今までの経験を活かして、プロジェクトの進め方や検証の仕方の提案、検証そのものの精度を高める取組を行うなど、プロジェクトの中心になりつつあります。それはエンジニアとして格段に成長していることの証でもあります。

今では不具合も予期しないことも多々あるものの、それを如何に克服していくのか、どうやって不具合が出ないようにするのか、また不具合があった場合に、どのように安全性を確保するのかなどの多岐に渡る燃料電池の制御を通して、最終的にカタチあるモノに仕上げていくことに大きな魅力を感じているとTさんは言います。

自身も業務を行いながら、部下を率いるエキスパートへ。
ブロジェクトの中心的存在になるべく、
モノの考え方を磨いています。

「考えがズレないように、ある程度のラインを作りつつも、自分自身で考えて開発に携わるように指導しています。」というのが、2019年にはアルトナーのエキスパートになったTさんの指導方針です。エキスパートは、部下のスキルアップや、その人の特性を見極めながら先々の方向性を見出していく仕事です。

その、リーダーとして人を率いていくことの難しさとやりがいを感じつつ、最終的には一人前に評価されるような人を育て、そのプロジェクトの中心になって引っ張って行く存在を目指しているTさん。アルトナーの技術系の研修から、ビジネス、ヒューマンスキル、マネジメント系などの能力開発セミナーまで幅広い研修を受けつつ、モノの考え方を磨いていっているのだそうです。

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