Engineers Interview
AIと共同でよりよいソフトウェアをつくる
産業用ロボット向けビジョンシステム開発を手がけるエキスパートが語る、AIスキルアップへの挑戦

PROFILE
ハイバリューグループ
ソフトウェア
エキスパート T.N.
- ・理学部 数理情報科学科
- ・2016年 新卒入社
- ・30代
※役職・年齢・業務内容等は取材時のものとなります。
自動車のワイヤーハーネス設計やブレーキECUの組込みソフトウェア開発を経験し、現在は産業用ロボット向けのビジョンシステム開発に携わるTさん。業務ではAIを活用して作業時間を短縮し、設計や技術的な検討により多くの時間を充てています。今回は、これまでのキャリアやAIによる仕事の変化、エキスパートとして目指す姿についてうかがいました。(取材・記事執筆:アルトナー取材班)
IT技術を通じて人々の役に立つモノづくりがしたいと考え、エンジニアを志望しました
子どもの頃からモノづくりやパソコンに興味があったTさん。大学では数学を専攻し、C言語を用いた数理計算に取り組みました。数式をプログラムに実装する過程を通じて身につけた論理的思考力や問題解決力は、現在の仕事にも活きています。
大学時代には、自らWebサービスを開発し、アクセス状況などのデータを自動で収集してグラフ化する仕組みも構築しました。自らを好奇心旺盛な性格だというTさんは、業務でも新しい技術やツールを積極的に試し、Excelに記載されたデータの収集や評価結果の集計など定型的な作業はスクリプトを作って自動化しています。
ハードウェアとソフトウェアの両方を経験し、広い視点を身につけました
Tさんがアルトナー入社後、最初に携わった業務は自動車メーカーでのワイヤーハーネス設計です。車内に電線をどのように配線し、レイアウトするかを検討していました。
世の中の製品やサービスには、ハードウェアが密接に関わっています。もともとはソフトウェア分野を得意としていたTさんですが、まずは大きな製品である自動車を通して、ハードウェアの経験を積みたいと考えていたそうです。
次の配属先では、自動車部品メーカーでブレーキECUの組込みソフトウェア開発を担当しました。故障診断やフェールセーフ機能※、センサー信号処理などの開発に携わり、設計から実装、評価・検証まで一連の工程を経験しました。
※フェールセーフ機能:機械やシステムが故障や異常を起こした際に、安全な状態を保つように制御する機能のこと
ハードウェアとソフトウェアの両方を経験したことで、現在はより広い視点からソフトウェアの設計や評価を行えるようになったと感じています。
産業用ロボット向けビジョンシステムの開発に携わっています

Tさんは現在、精密機器メーカーで、産業用ロボット向けビジョンシステムに関するソフトウェアを開発しています。カメラから得た画像情報をもとに、ロボットが部品を自動でつかみ、決められた場所へ置けるようにするためのソフトウェアです。
また、工場の設備を制御するPLCとの連携など、FA(ファクトリーオートメーション)分野の自動化ソリューションにも携わっています。お客様の製造設備とロボットビジョンをどのようにつなぎ、現場の作業を自動化するかを考える仕事です。
現在はエキスパートとして、約7名のアルトナーメンバーをまとめています。メンバーが担当業務で力を発揮できるよう、チームの状況を把握してサポートすることもTさんの役割の1つです。
AIの活用で、コード実装などの作業時間を約70%削減できました

業務では、お客様から許可されている範囲でClaude、Microsoft Copilot、ChatGPTなどのAIを、用途に応じて使い分けているTさん。コードの実装や設計、技術調査、デバッグにはClaudeを使い、Microsoft製品のドキュメントを扱う際にはCopilotを活用しています。技術調査やサンプルコードの作成、実装方法の検討、ドキュメント作成などにAIを使うようになったことで、これらの作業にかかる時間は、Tさんの感覚で約70%削減されたそうです。特に大きく変わったのは、コードの実装にかかる時間です。AIが生成するコードの品質はかなり高まっており、実装時間を大幅に短縮できるようになりました。
実装時間を短縮できた分、設計や技術的な検討により多くの時間を充てられるようになりました。また、AIの効果的な活用方法をチーム内で共有し、メンバーの負担軽減にもつなげています。
さらに、壁打ち相手としてもAIを活用しています。担当するソフトウェアについて「この部分を改善したい」と相談すると、複数の案を提示してくれます。その中から有効だと考えられる案を検証し、その結果を再びAIに伝えながら精度を高めていきます。AIに答えを出してもらうというより、AIと共同でよりよいソフトウェアをつくっていくイメージです。
実務と資格学習の両面から、知識を深めています

AIを活用するスキルは、実際の業務で身につけてきたTさん。コード作成や技術調査などの小さな用途から試し、どのような指示を出すと精度の高い回答が得られるのか、どの業務にAIの活用が適しているのかを試行錯誤してきました。
現在は、「E資格」の勉強を通して、機械学習や深層学習の知識も体系的に身につけたいと考えています。さらに、ハードウェアの基礎知識を深めるため、「応用情報技術者試験」の勉強にも取り組んでいます。
資格取得は個人だけでなく、チーム全体で進めています。オンラインで定期的に勉強会を開き、それぞれが学習を進めるほか、メンバーが講師役となって知識を共有することもあります。チーム全体のスキルを底上げすることも、エキスパートとしての目標の1つです。
身近な先輩を目標に、成長を続けていきたいです
アルトナーの先輩や同僚とは、将来のキャリアや技術について気軽に相談できる関係です。経験豊富な先輩も多く、日頃から様々な助言をもらっています。
中でも、仕事とプライベートのどちらも高いレベルで充実させている、目標となる先輩が身近にいるとTさんはいいます。そうした先輩の姿から刺激を受けながら、自分自身も仕事と学びの両面で成長を続けていきたいと語ってくれました。
社会に役立つ製品を開発することがモチベーションです
Tさんが仕事のやりがいを感じるのは、設計や実装の改善によって品質や開発効率が向上したときや、開発した製品が社会の役に立っていると実感できたときです。また、新しい技術を試し、自分のスキルが広がっていくことにも面白さを感じています。
技術判断や設計をリードし、チームに貢献できる存在を目指します
Tさんの1年後の目標は、担当領域でより高いレベルで自走し、品質と納期を両立することです。5年後には、システム全体を俯瞰して技術判断や設計をリードするとともに、後輩の育成やメンバーへの技術的なサポートにも更に力を入れ、チーム全体の技術力向上に貢献できる存在を目指しています。