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アルトナーエンジニア

自動化で得られる恩恵は、他の誰かがより良い仕事ができるようになり、人には困難な作業も可能にすることです。

アルトナーに入社直後に創設されたハイバリューグループに所属しているY.H.さん(以下:Yさん)は、大学では量子物理学を学んでいました。それは物質の性質を見極め今後の技術や物作りに役立てる基礎研究です。今は自動車メーカーで検証の効率や精度を上げるための様々な自動化に取り組み、良い検証環境を構築することに取り組んでいます。
(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

Profile

ハイバリューグループ
ソフトウェア モデルベース エキスパート Y.H.

大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻
2010年新卒入社 30代
〈役職・年齢・業務内容等は取材時のものとなります。〉

将来的に使える次世代エネルギーへの興味が、
物質の性質を見極め、今後の技術やモノづくりに役立てられる
量子物理学を学び始めた理由です。

Yさんは高校生の時に反物質の存在を知り、それが今後のエネルギー、原子力やさらに先の、将来的に使える次世代エネルギーになるのではないかと興味を持ったことがきっかけで、大学では反物質に大きく関わっている量子物理学を学んでいました。それは極小のナノメーター単位の原子や分子レベルの世界で、どういう物理現象が起こっているのかを研究し、物質の性質を見極め今後の技術やモノづくりに役立てる基礎研究です。進めていくと量子コンピュータなどにも通ずる関連技術です。

Yさんが実際に取り組んでいた研究内容は、燃料電池における表面物理という物質の表面で起こる物理現象についてです。電池の電極で起こること自体は化学反応ですが、その電極の表面で起こる物理現象を解明し、もっと効率よく反応を促進させることのできる電池が作れないかを探る研究をしていました。

幅広い技術を身に付けながら、自身の目的のものを
見つけることができると考え、アルトナーに入社しました。

就職活動の際には、具体的にやりたいことが明確にはなっていませんでしたが、幅広くいろんな技術を知りたいという思いがあったため、アウトソーシングという業界が視野に入り、アルトナーと出会います。

そしてアルトナーの採用担当者と話しているうちに、様々なメーカーの最前線を渡り歩き、幅広い技術を身に付けていく中で、自身の目的のものを見つけることができると考えるようになり、アルトナーに入社しました。また、入社前にWebサイトで見た先輩社員の方たちが、配属先でハイレベルなプロジェクトに携わっている様子を知ることが出来たこともアルトナーを選択する決め手になったそうです。

鉄道信号や交通信号の関連メーカー、自動車メーカー、
半導体露光装置のメーカーで、業務を行ってきました。

アルトナーに入社し、1社目に鉄道信号や交通信号の関連メーカーに配属され、製品の振動に対する強度を確かめる振動試験や、静電気などで電気的な誤作動を起こさないかなど、製品の品質評価や認定試験の業務を行っていました。

2社目は自動車メーカーで、出来上がった車が各国の法規に対応しているかどうかをテストする認証と呼ばれる業務を行っていました。これは日本で言えば国土交通省に当たるような各国の機関に対し、テストした書類を提出し認可を受けるというものです。英語で書類を作成したり、他国の方たちと英語でメールをやり取りしたことは、Yさんにとってとてもいい経験になったそうです。

Yさんは3社目の半導体露光装置のメーカーで実際にモノづくりの現場に携わることになりました。ICチップや半導体自体を作る、半導体露光装置の制御ソフトウェア開発を行っています。装置を制御するために必要な仕様やスペックなどの要件定義を纏め上げ、プログラミングを委託し、できあがったソフトウェアが要求した仕様通りになっているかの検証を行う業務を行っていました。

検証の効率や精度を上げることで工数を減らし、
より良い検証環境を構築することに取り組んでいます。

Yさんは、現在配属されている4社目の自動車メーカーでは、最初はエンジンを制御している様々なソフトウェアの検証や、開発プロセスの効率化・改善を目指す業務を行っていました。現在は、次に異動した部署で、自動運転や運転支援に関わる業務を行っています。具体的には自動車に車載されているカメラのソフトウェアの検証です。

検証に関わる効率や精度を上げることで工数を減らし、より良い検証環境を構築することに取り組んでいます。そのために自動化ツールを作ったり、実車を使ってのカメラの検証だけでなく、実車を使わずカメラ単体だけで行える机上検証の環境の構築や検証などを行っています。

実際の車を用意しての検証というのは、それに関わる人、車の予約や取り合いなど限られたリソースの中で融通しなければならず、想像以上に大変な労力がかかることなので、机上検証の環境を構築することは検証の効率を大幅に向上させることだとYさんは言います。さらにはその検証を自動化することによって、夜間や休日の間も検証が行えるような環境を構築することができ、工数の大幅削減に成功したそうです。今後さらに多様な検証にその環境を適用できるようにし、より多くの工数削減を達成することを目指しています。

自動化がもたらす恩恵の1つは、他の誰かがその人なりの
より良い別の仕事ができるようになることです。

Yさんが現在取り組んでいる様々な自動化への取り組みは、業務効率を改善し、今までの苦労や手間を減らすことができます。自動化することによって、ある人の仕事を奪ってしまうことになるのではないかという考え方もありますが、Yさんは「その人なりのより良いもっと生産的な別の仕事や、その人にしかできない仕事ができるようになる。」と言います。そうした考えで自動化するツールを作り、誰かの手間を減らし、工数削減ができた時には、かなりの達成感があると言います。Yさんは自分の仕事がうまく効率良く回せるようになるだけでなく、自分以外の人の仕事も効率良く回せるようにすることに、やりがいを感じているのです。

一方で自動化は、人が行うとしたら現実的ではないことも可能にしていく点にもYさんは着目しています。例えば、製品の耐久試験で同じことを何千回、何万回も繰り返し、1万回に1回だけ起こるような不具合や事象を見つけるような人の手だと数ヶ月は要するので普通ではやらないような作業も、自動であるのならば取り組めるということです。結果的に分かったことをフィードバックすれば、起こりうる不具合を防いだり、ソフトウェアの品質も上げていけるというわけです。

ソフトウェアを作るにあたってYさんは、自分がどういうソフトウェアを作りたいのか、どういうことをやりたいのかを正確に相手に伝えることがとても重要だと言います。日本語で仕様を書く際にも誰がどう見ても間違えた解釈がないよう、通常の言語以外にも、ソフトウェア開発で使用されるモデリング言語、図やチャート、表などを駆使するなど自分の意図を伝えるための工夫をいつも心掛けているそうです。こうした考え方の上で、Yさんは人の意見も取り入れながら、自動化に関わるツールのアップデート業務を行っているのです。

エキスパートという役職に就いて
最前線の現場で同じチームの部下の指導を担っています。

Yさんは、2016年にエキスパートという役職に就いています。エキスパートというのは、最前線の現場で同じチームの部下の指導を担う役職です。現場レベルでの相談に乗ったり、月に1回ミーティングを行い状況を確認したりします。

また、各個人がスキルアップしていく上での指標を与えたり、勉強会を開いたりしています。エキスパートが取りまとめるチームは、大きなくくりで自動車に関わり、ソフトウェア開発に関連する人たちで編成されているため、部署が違えどスタッフ間で共有できる部分が多いはメリットだとYさんは言います。

そうして、エキスパートとして人の上に立ち、いろいろな人の考えも聞きながら、幅広い視点でその人その人に合ったアドバイスができた時は、Yさんは自身の成長を感じる瞬間だそうです。今後は、もっとチーム全体で仕事をすることや、生産性を上げるということに関して、学んでいきたいと考えています。

アウトソーシングエンジニアとしての役割を果たすために
自主的な学習が絶対に欠かせません。

アウトソーシングエンジニアとしての役割を果たすために、自主的な学習が絶対に欠かせないとYさんは言います。それは、その業界の専門知識や経験値に長けている配属先の方々に、自身の持っている幅広いキャリアや知識をもとにした、別の視点からの提案を行える役割です。例えばYさんの例で言えば、半導体業界での経験や知識を生かした提案が自動車業界で行えるというようなことです。

そのためにYさんは、今配属されている会社での業務で使う知識だけでなく、自主的に関係のない分野の知識をプラスアルファで勉強するなど、1つの分野にとらわれない幅広い知識を身に付けることも大切だと考え、自分の部下たちにも伝えています。

一歩ずつ進んでいくことで、
最終的に目標どおりのものができるところに、
喜びや達成感、成功体験があると思っています。

Yさんはエンジニアの仕事の魅力は、今までできなかったことができるようになることだと言います。聞いた時には壮大な話で、とても手を付けられないと思っていたものも、一歩ずつ進んでいくことで最終的に目標どおりのものができるところに、喜びや達成感、成功体験があると思っています。自分たちが作ったソフトウェアによって、何か新しいことができるようになると、それが次々に連鎖して、また新しいものができるようになる終わりがないところにもやりがいを感じているそうです。

アルトナーが提供してくれるセミナーは、
人間力を高めることにとても役立っています。

Yさんは、アルトナーが技術力以外にも人間力のような部分をとても大切にしていて、会社としてそうしたセミナーの場を提供してくれることをとてもありがたいと思っています。例えば、専門の講師を招き人としてどうあるべきかという話や、LGBTQの方の考え方についてから、これからの世の中に必要な多様な価値観を認めること、それによる社会全体としての生産性向上の話などを聞いたりすることができるそうです。そうした講座を通じて色々な考え方ができるようになり成長していく部分も大いにあるとYさんは考えています。

学生時代にじっくり取り組んできた学ぶ姿勢や、
学び方の経験を、しっかり生かして、
社会に出てからも学んでいくことは非常に大事だと思います。

物理的なものをスーパーコンピュータなどを使ってシミュレーションしたりするという部分は、現在業務として行っているソフトウェアに通ずるものがあるとYさんは考えていますが、ソフトウェア自体の具体的なことは社会に出てから、自分で勉強したり、若いころ所属してたチームの勉強会で学んだり、派遣先の方にOJTで教えていただきながら技術を身に付けてきたそうです。

Yさんからエンジニアを目指す学生の皆さんにメッセージです。「就職活動をしていく上で、今まで取り組んできた研究があって、その知識を活かした方向に進みたいという人が多いと思いますが、実際に就職して10年が経過し振り返ってみると、学生の時に取り組んでいたこと自体は知識として役には立っていても、実務においては、また一から学ぶことが多いと感じます。ですから、今までやってきたことにとらわれ過ぎないほうが良いのではないかと思います。学生時代にじっくり取り組んできた学ぶ姿勢や、学び方の経験を、しっかり生かして、社会に出てからも学んでいくことは非常に大事だと思います。

また、やりたいことが決まっていなかったとしてもネガティブに捉えずに、だったら、いろんなことを経験してみようという考えを持って、その上で様々な現場で経験を積むのは凄く良いことだと思うので、そういう目線で就活してみてもいいと思います。多様な考え方や幅広い知識、それによって生まれる柔軟性によって、どんな場面でもやっていけるような人財になれるのではないでしょうか。」

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