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教育・研修

アルトナーの「インターンシップ1日コース」で学んでみました。充実のカリキュラムで、リアルな設計開発を体験。


大阪江坂にあるアルトナーの教育・研究施設「ラーニングセンター」は、日頃からアルトナーのエンジニアの研修や教育に使われ、実際の開発環境も整えられている重要な施設です。2019年1月には増床し、リニューアルを終えたことで、より一層、環境の充実が図られています。
(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

そのラーニングセンターで行われる様々な研修の一つに、学生を対象にした「インターンシップ1日コース」があります。学校では体験できない、リアルな設計開発の職業体験ができることが最大の特徴で、機械系、電気・電子系、情報系の3つから選択したコースの中で、ビジネスマナーから、実践的な設計開発までを体験することができます。

実践的な設計開発を体験する前に学ぶ大事なこと。
社会人としての挨拶のしかた、自己紹介の行い方。

明るいガラス張りの研究施設入り口スペースに、アルトナー取材班も、受付20分前から集まり始めていた学生たちと一緒に、簡単な受付を済ませて入室します。開始時間の10:30には、約30名ほどの理系学生でセミナールームの席が埋まりました。


担当者紹介の後、ビジネスマナーを学びます。学生と社会人では、挨拶も自己紹介の仕方も異なります。わずか1日のインターンシップコースですが、実践的な設計開発を体験する前に、まずは大事なことを学びます。

ビジネスマナーでの緊張を解きほぐし、
参加者どうしの距離を縮める昼食タイム。
体験学習を効果的にする大切なカリキュラムの一環です。

午前中のプログラムが終わると、昼食タイムです。それぞれが教室内に自由に座り、用意されたお弁当とお茶をいただきながら、しばし寛ぎつつ、他の参加者と学校の話など、コミュケーションをとっています。スタートの緊張を解きながら、これから一緒に学ぶ仲間たちの間に、ほんのり打ちとけた空気を作っていきます。

ここから、機械系、電気・電子系、情報系の3つそれぞれのカリキュラムで、リアルな職業体験をしていきます。

機械系コース》電動立ち乗り二輪車の仕組みとプログラミング!

機械分野の技術体験カリキュラム

・設計フロー
・セグウエイの仕組み
・未来の乗り物を考える
・未来の乗り物の解答例
・質問
・セグウエイに乗ろう

少しプロフェッショナルに近づくことができる。
座学に実技に発表と、リアルな設計開発を体験します。

「設計って、いったい何から始めるんだろう?どう進めるんだろう?」そのプロセスとも言える、設計フローを理解すれば、「プロフェッショナルに近づくことができる。」曰く、研修担当の喜瀬さん。これを、学生に分かりやすく30分で教えることができるのは、日頃、プロのエンジニアに研修を行っている研修担当ならではです。エンジニアを目指す学生ならば、必聴しておきたい大事なお話がきっと含まれているはずです。


電動立ち乗り2輪車の「セグウェイ」は、わずか2輪で、どうして安定して立ち乗りの人を乗せて走行できるのでしょうか。その仕組について教えてもらったら、それをヒントに参加者それぞれがイメージする未来の乗り物をスケッチしてみます。時間は90分。頭の中にある構想を、紙の上でカタチにしていきます。出来たら、それを皆の前で発表し合い、質問も受けます。企業で行われている、構想し設計を経て、プレゼンに挑むというようなイメージです。

研修のためにアルトナーが開発した「筆アール」。

アルトナーは研修生のために、機械設計に必要な様々な部品、アルミ、ステンレス、鉄などの素材を網羅した、アルトナー独自設計の機械を開発しています。どんな部品が使われているのか?素材の感触や特性は?そのメカニズムは?これらを観察・確認し、動作を確かめることが出来る特別なマシン。それが「筆アール」です。


インターンシップでも、研修の合間に「筆アール」に、「ARTNER」の文字を書かせる場面が設けられ、学生たちの注目を浴びていました。代わる代わるこの「筆アール」のそばに来て、構造を観察したり、使われている素材を確認するように触れたりする様子が見られました。機械設計の研修や学習に、このようなオリジナルの機械が効果的であることがうかがえます。

未来の乗り物のプレゼンを終えたら、実際に皆で「セグウェイ」に乗ってみます。冒頭に教えてもらった“電動立ち乗り2輪車”の仕組みについて、自分が考えてみた乗り物について、楽しみながら、いま一度、考えが巡ります。もし、実際の開発現場だったら、このセグウェイは自分の設計開発した乗り物かもしれない。そんな想像を掻き立てられるカリキュラムです。

電気・電子系コース》回路図CADを使って回路設計をしよう!

電気・電子分野の技術体験カリキュラム

・技術の仕事、座学
・実習説明
・CAD を使った回路図作成

スイッチを押すたびに、LEDが点灯と消灯を繰り返す。
こんな回路に思い当たるものはありますか?

オンとオフで動作を切り替えるスイッチと言うと、レバーのあるトグルスイッチや、シーソーのようになっているロッカスイッチ、あるいは2つのプッシュボタンを使ったスイッチをなどが思い浮かびます。

他に「プッシュボタンが一つ」でスイッチを押すたびに、LEDが点灯と消灯を交互に繰り返すスイッチがあります。これはオルタネイト(交代する)スイッチと呼ばれていて、身近なところでは、自動車のエンジンスターターや、部屋の電灯のスイッチなどに良く見られます。今回は、このようなスイッチを押した時のみ状態が変わる「保持回路」と呼ばれる回路の設計を行います。


この、電源がONした状態を自ら保つ回路「自己保持回路」の設計を学ぶということは、実はとても重要であることを、配られた資料にある回路図の説明とともに、研修担当の和田さんは説きます。自己保持回路は、電気制御を実行するうえでの基本。極端に言えば、どんなに複雑な電気制御システムも、この自己保持回路の集合体と考えてもいいそうです。電気制御のエンジニアになろうと言う人は、この「自己保持回路」についてはきちんと理解しておく必要がありそうです。

OrCAD(オアキャド)Liteを使って回路を設計。
「どんな小さなことでも、解らないことをそのままにしない。」

OrCADは、必要な電子部品を並べて結線し、目的の回路を設計するためのソフトウェアです。電子回路の設計で広く世界中で使われているOrCAD。ここでは、個人ユーザーや学生でも無償で利用できる、製品版と全く同じ機能を持った「OrCAD Lite」を使います。制限されているのは設計の規模と複雑さだけなので、リアルな設計体験ができます。


配られたマニュアルを元に、ソフトウェアの起動から、作業ディレクトリの作成に始まり、回路に必要な部品を画面上に並べていきます。「どんな小さなことでも、解らないことをそのままにしてはいけない。必ず質問してください。」和田さんのこの一言はとても重要です。実は取材班はアルトナーの様々な場面で、同じような「考え方」を耳にしています。これは、エンジニアには欠かせない重要な要素なのです。

並べた部品を結線し、各部品に定数や品番や名称を入力し、回路図のチェックをし、部品表などを作成します。後は完成した回路図をプリントアウトすれば終了です。

情報系コース》AndroidとBluetoothでIoTプログラミング!

情報分野の技術体験カリキュラム

・C言語:文字列処理関数を作成して構造化プログラミング
・Androidアプリケーションプログラミングの構成
・ArduinoとBLE通信モジュールの基本構成

“Hello World!”
Androidアプリのビルドからスタート。

この研修は、アルドゥイーノ(Arduino)と呼ばれている、小さな8ビットマイコンボードにLEDを接続し、それをAndroidのアプリからBluetooth(近距離無線通信規格)を通じて点灯、消灯させるという開発を体験します。スタートはAndroidアプリを作ることからはじめます。


まずはAndroidStudioとJava SDKをインストールし、様々なプログラミングや、開発環境の世界でお馴染みの“Hello World!”を表示させるという、最も単純なアプリを、研修担当の畑田さんの指導に従いビルドしてみます。同じ手順で、今度は8ビットマイコンボードのアルドゥイーノをBluetoothで操作するために、既存アプリを読み込み少々改造してアプリとしてビルドしておきます。

LEDやセンサーを取り付けてプログラミングすると…。
アルドゥイーノは、IoTの夢を拡げてくれます。

小さな8ビットマイコンボード「アルドゥイーノ」の開発環境を準備します。ボード上に並ぶ各部品やチップ、コネクタの説明を受けたら、パソコンに統合開発環境であるArduino IDEをインストールします。最初にアルドゥイーノと接続する際の通信ポートを設定したら、「スケッチ」と呼ばれている言語で書かれた、既存のプログラムをIDEに読み込み、検証しコンパイルします。


それをアルドゥイーノに書き込み、LEDなどを点滅させる方法などを学びます。様々なセンサーや部品を接続して、自由にプログラムで動作させられることがわかりました。後は、外部と通信できれば、それはもうIoTと言えるでしょう。

様々な部品やセンサーなどを、無線通信を使って
Androidアプリからコントロール出来る。

アルドゥイーノがBluetooth(近距離無線通信規格)で通信できるようになる部品などが揃っている、シールドと呼ばれる拡張基板を載せます。作業はワンタッチで終わりですが、これでAndroidと無線通信が可能になります。次にアルドゥイーノにLED点灯、消灯用のスケッチを書き込み、最初に準備していたAndroidアプリを操作すれば、ワイヤレスでLEDの点灯と消灯が出来ることがわかります。


他にも、回転角度を制御できるサーボモータをスライダーで操作したり、温度センサで温度を測ったり、リードスイッチのオン・オフの状況を確認したりと、アイデア次第で様々な機器を、遠隔でコントール、あるいは状況を計測できることが解りました。実際のIoTとは具体的にどんなモノを指すのか?それがクッキリとわかる研修でした。

学習だけではありません。
インターンシップに参加するメリットは、
その企業をうかがい知る、絶好の良い機会。

席に戻れば、時刻は16時30分。トータル約5時間の研修はあっという間に終了を迎えました。「インターンシップ1日コース」は、短時間ですが、実際に世の中で活躍する、プロのエンジニアたちを沢山育て送り出しているアルトナーの充実したカリキュラムで、参加者はリアルな職業体験ができたのではないでしょうか。

インターンシップに参加するメリットは、研修を受け、学ぶことだけではありません、「もしこの会社に就職したら。」と想像し、その企業の雰囲気や文化などの様子をうかがい知るには、絶好の良い機会でもあります。

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