安定した財務基盤を構築し、持続的な企業価値向上を果たしてまいります。
当社の2024年1月期の業績は、アフターコロナにおける需要拡大に伴い、売上高10,110百万円(前期比9.4%増)と過去最高を達成し、同期間の当期純利益も1,051百万円(前期比17.5%増)と最高益を更新しました。これに伴い、営業キャッシュ・フローが1,126百万円、フリー・キャッシュ・フローが1,121百万円と順調に増加しております。またEPS(1株当たり当期純利益)が98.99円となり、3か年(起点:2021年1月期)の年平均成長率(CAGR)は18.7%となりました。
当社は中期経営計画において、経営数値目標として売上高116億円、営業利益率14.0%、技術者数1,600人以上、ROE20%以上を掲げております。
当社のメイン事業である技術者派遣事業においては、稼働人員(技術者数×稼働率)×技術者単価×労働工数で算出される金額を売上高として、顧客企業に配属中の技術者の労務費等を売上原価として、社内にて教育研修(待機)中の技術者の労務費及びスタッフ職の労務費等を販売管理費として計上していることから、当社は「技術者数」「稼働率」「技術者単価」を経営指標として重視しております。
今後の売上総利益率の向上には、1人当たりの技術者単価の上昇が欠かせません。研修体制の強化や充実したキャリアサポートの実施などを通じて技術者の付加価値向上を図り、技術者単価上昇を目指してまいります。また、管理効率の向上により技術者の増員に伴う間接部門の増員を抑え、販管費率の上昇を抑えることで、営業利益率の向上につなげてまいります。
引き続き、中期経営計画で掲げた目標である技術者数1,600人の達成、及び稼働率・技術者単価・労働工数の高水準維持に取り組んでまいります。これにより売上高を116億円まで伸ばし、売上高における採用コスト比率の適切な管理により、営業利益率14.0%の達成を目指してまいります。
当社は借入金がなく自己資本比率が高いことから、株主資本コストを重視し、株主資本コスト約8%を意識した経営を推進しております。中期経営計画で掲げたROE目標20%以上に対し、2024年1月期はROE25.3%を達成し、株主資本コストを上回る資本効率を実現いたしました。今後もROEの分子である当期純利益を上昇させるとともに、分母である自己資本においては内部留保とのバランスを考慮しながら、配当として利益還元していく方針です。
持続的な成長に向けて、当社は安定したキャッシュ・フローの確保と効率的な資本配分に努めております。月間売上高の約3か月分を手元現金として保有し、余剰資金は将来 の成長機会に備えることを目指しております。
当社の事業形態は、当年の新卒技術者が稼働するまでの人件費など多少の初期投資は必要とするものの、積極的な設備投資をそれほど必要としません。余剰資金をM&Aの一部資金として活用することが、様々な業界の再編への迅速な対応と競争力の強化につながると考えております。
利益配分については、今後の事業展開、業績及び経営環境、経営基盤の強化を総合的に考慮し、株主の皆様に対する安定的な配当を実施することを経営の最重要課題と位置づけ、配当性向50%をベースに検討することとしております。また、当期純利益の増益を継続して、前年割れのない右肩上がりの配当額を還元していく考え方を基本としております。また、TSR(株主総利回り)(※)は下記の通り推移して おります。
2020年 1月期 |
2021年 1月期 |
2022年 1月期 |
2023年 1月期 |
2024年 1月期 |
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※ TSR(株主総利回り)(%) | 91.8 | 98.3 | 102.7 | 123.1 | 262.9 |
比較指標:配当込みTOPIX(%) | 110.2 | 121.2 | 129.7 | 138.8 | 183.9 |
当社は東証プライム市場の上場企業として、経営指標を適切に管理・開示し、透明性と信頼性の高い財務管理に努めることで、ステークホルダーの皆様からの信頼を維持・構築してまいります。そのためにも、管理システムのバージョンアップと業務プロセスの改善に注力するとともに、適切な財務数値管理を実行し、取締役会の意思決定につなげることが重要だと考えております。
今後もキャッシュの創出、キャッシュアロケーションと株主還元を常に意識し、利益率、資本効率の向上に努めてまいります。そして財務面における競合他社との差別化を図り、持続可能な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
2024年5月29日
最高財務責任者CFO 張替 朋則