社外取締役インタビュー

(左)取締役(監査等委員)
寺村 泰彦

(中)取締役(常勤監査等委員)
野村 龍一郎

(右)取締役(監査等委員)
森井 眞一郎

社外取締役および監査等委員というご自身の役割について、どのようにお考えですか。

野村:

業務執行取締役の職務を監査するとともに、取締役と協働してコーポレート・ガバナンスの透明性と公平性を高めることを意識して行動しています。併せてこれまでの経験や人脈、専門性を活かしてアドバイスを行うことを心掛けています。

寺村:

法で定められている通り、株主からの負託を受けて、業務執行取締役の職務を通じて企業統治体制の確立を図ることを第一と考えています。また、経験や知識を生かして経営方針や経営改善のアドバイスを行い、業務執行取締役の積極的な行動を後押しすることを目指しています。

森井:

企業価値の最大化を目指し、適切なガバナンスが実施され、リスクが最小限に抑えられた環境の維持に努める「守り」の側面と、持続的な成長を実現する「攻め」の側面を合わせて経営方針や経営改善の助言を行い、経営全体を監督しています。

前中期経営計画を振り返って、また新中期経営計画について、ご意見をお聞かせください。

野村:

東証プライム市場を選択する中で作成された新中期経営計画は妥当であると考えられます。2025年1月期(最終年度)の売上高116億円は十分に達成可能です。社会環境が激変する中、カーボンニュートラル事業を柱に据え、企業価値向上につなげることにより、ステークホルダーの皆様にも評価していただけると思います。

寺村:

前中期経営計画は、ちょうどコロナ禍に重なり、2021年度は新卒配属の遅れなどで苦戦を強いられましたが、お客様からの当社技術者への派遣ニーズは強く、大きな落ち込みはありませんでした。そのような中、中期経営計画の基本方針であるセグメント戦略においては、セグメント別の人財の採用、教育、配属面で着実な前進が見られたと思います。監査等委員会は社内の各部門の現場責任者と毎年ヒアリングを行っていますが、採用、教育、配属それぞれにおいて、セグメント別に適切な対応がとられていると感じています。
新中期経営計画は、東証の再編を受けてプライム市場を選択したところから作成されています。基本施策は前中期経営計画から変わりませんが、新中計ではカーボンニュートラル分野への技術者の派遣に注力することを定めています。カーボンニュートラル分野へはこれまでも多くの技術者を派遣しており、現在のお客様からのニーズおよび当社の技術者の特色を考えても、時宜に適った施策であると言えます。
「多種多様な人財活用」においても、少しずつではありますが、女性技術者や外国人留学生が活躍する場面も増えています。この面では請負・受託業務が増えつつあることもプラスに働いていると思います。
直近の課題はプライム市場の上場維持基準である、流通株式時価総額の確保です。中期経営計画で挙げられている諸課題を着実にこなしていくことで、計画の達成は十分可能であると思います。

森井:

中期経営計画の達成が、上場維持基準を充たすことにつながります。そのためには、進捗状況のチェック、問題点、課題への対応の早期化を注視する必要があります。技術者派遣の市場規模、顧客企業の研究開発費は年々増加傾向にあるため、技術者数1,600人体制の達成に向けた取り組みが重要だと考えています。

取締役会の実効性や運営面について、どのような評価をされていますか。

野村:

当社の取締役会は、業績の審議と重要事項の審議の2回に分けて実施されています。業績取締役会では細部にわたる事項が報告され、定時取締役会では中長期的な企業価値向上を意識した経営戦略について議論されており、効果的な運用がなされていると思います。また、ここで議論された内容を基に、全社的に検証会議と経営戦略会議で具体的な対策が検討されており、迅速かつ的確な業務対応につながるフローが意識されていると思います。

寺村:

取締役会が2回に分けて実施されていることから、取締役会の議題が絞られ、効果的な運営になっていると思います。業績取締役会では非常に微細な事項も報告されます。少し細かすぎるきらいはありますが、我々社外取締役が社内の状況を把握する上で助かっています。また、取締役会資料は前日までには配布され、重要案件においては、事前の取締役会で議題資料が提示され、我々がじっくり検討する時間が確保されていることもありがたいです。また私は東京本社に常駐していますが、詳細な事項は同じフロアにいる経営戦略本部に質問することができるため、我々の監査活動に非常に役立っています。

森井:

月2回の取締役会、また四半期ごとの臨時取締役会により、取締役全員の意思の疎通、方針、問題点の共有ができていると思います。

サステナビリティについてはどのように評価されていますか。

野村:

人づくり、従業員の幸福、コーポレート・ガバナンス、社会貢献を基本方針に、経営理念の実現を目指しています。社会的責任や環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る取り組みについて、引き続き強化を期待しています。

寺村:

もともとはCSRとして主に社会貢献に取り組んでいましたが、2022年7月、それまでのCSR推進会議をサステナビリティ委員会に改組し、サステナビリティ課題への取り組みを強化しました。これまでも人財の育成、ガバナンスの強化には力を入れていましたが、今後さらにマテリアリティとして掲げた目標達成に向けて進捗していくことを期待しています。

森井:

カーボンニュートラルを事業活動の柱に置いて事業計画を推進していること、またガバナンス、コンプライアンスの厳格化が進んでいることについて評価できると思います。

アルトナーが社会課題に対して果たすべき役割・貢献について、どのようにお考えですか。

野村:

技術者のスキルアップに向けた教育の場を提供し、技術力、人間力の向上に努めることで、即応性を高めていると思います。技術者をサポートすることで社会的な役割を担い、顧客企業の持続的な成長に貢献できるように活動していると評価しています。

寺村:

終身雇用を主体とする日本の雇用制度が大きく変化し、VUCAの時代ともいわれる現在、若い世代は、我々の世代以上に自らのスキルを磨き、どのような社会環境にも対応できるよう成長する必要があるとされています。アルトナーは、若い技術者に対し、仕事と学びの機会を提供し、それぞれの指向性に合わせた多様な進路を提供しています。日本の技術力の向上やリスキリングの場の提供を通じて社会に貢献しているといえるでしょう。今後は、中期経営計画で掲げている「多種多様な人財活用」をさらに進めることで、一層の社会貢献を果たすことができると思います。

森井:

SDGsに沿って、今後もカーボンニュートラルに向けて事業を拡大する必要があるでしょう。また、地域への奉仕活動も重要だと思います。

アルトナーの課題は何でしょうか。また今後のアルトナーに期待することは。

野村:

東証プライム市場の上場維持基準を達成すること、そして中期経営計画をクリアすることです。採用面等々で厳しい環境にありますが、必ずや達成してくれると期待しています。今後は電気自動車、産業用ロボット等のさまざまな技術・サービスに貢献する人財の提供を通じて、取引先のニーズと信頼に応え、豊かな社会の創造に貢献してほしいと思います。

寺村:

指名・報酬委員会でも議論していますが、2022年に設立60周年を迎え、そう遠くない時期に会社の経営を次世代につなげていくことが必要となってきます。現在の大半の役員の方々は上場以前から当社の経営に携わってこられた方々です。今から次世代を担う人財を発掘し、育成していくことが必要だと思います。若い社員の皆さんが、今後、主体的に会社を発展させてくれることを期待したいです。

森井:

取締役の高齢化や女性活用率の低さは、当社が解決すべき課題です。また部門間の連携、情報の共有化に改善の余地が大きいと考えています。

最後に、それぞれのお立場からメッセージをお願いいたします。

野村:

株主をはじめとするステークホルダーとの協働によって社会的責任を果たし、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図らなければなりません。監査機能を発揮し、独立性を意識して、コーポレート・ガバナンスの実効性が確保されるよう努めてまいります。

寺村:

中期経営計画がここまで順調に進捗してきましたが、最も注意すべきは、不祥事に限らず、株主の期待を裏切る問題の発生です。これを避けるためには、内部統制システムがしっかりと運営され、皆が緊張感をもって対応していくことが必要です。我々も精一杯努力していく所存です。

森井:

成長・拡大する業界であり、市況も良いです。各課題・計画に向けて全社で取り組むことで、先は明るく大いに期待できると考えています。

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