育休を取得した男性社員×取得をサポートした上司 オンライン対談
近年、男性の育休取得が急速に進み、将来的に結婚や子育てを考える中で女性だけでなく男性も育休取得が身近になってきました。そこで今回は、約3か月半の育休を取得した能力開発本部のSリーダーに、育休取得までの悩みや取得してみて感じたメリット、仕事への影響などをうかがいました。さらに、取得をサポートした上司のIマネージャーに、育休取得までのプロセスやチームでのサポート体制についてうかがいました。「男性の育休」のリアルな現場の様子をお届けします。
(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

ソフトウェア 研修担当
マネージャー I.T.
50代
〈役職・業務内容は取材時のものとなります〉 能力開発本部
ソフトウェア 研修担当
リーダー S.K.
40代
〈役職・業務内容は取材時のものとなります〉
研修の現場を共に支える二人

── 現在の業務について教えてください。
Iマネージャー:ソフトウェア系研修の責任者として、新入社員や中途社員の研修企画・運営を担当しています。土曜日に開催する研修会の実績管理も含め、研修全体を統括する立場です。
Sリーダー:私は主に新入社員や研修中のエンジニアへの研修実施を担当しています。加えて、企業の業務内容の調査や採用面接、大学での業界セミナーなども行っています。
── お二人は普段の業務でどのような関りがありますか?
Iマネージャー:私は普段は横浜の東日本ラーニングセンターに常駐していますが、Sリーダーには大阪の西日本ラーニングセンターでソフトウェアの研修担当のリーダーをお願いしています。
Sリーダー:普段のやり取りは電話やメールが中心ですが、気軽に話せる関係です。私のほうから相談の電話することも多いですね。Iマネージャーは、いつも前向きな言葉をくださるので、安心して話せます。
「取れるのかな?」から「取ろう」に変わったきっかけ

─── 育休を取ろうと思ったきっかけを教えてください。
Sリーダー:実のところ「自分が育休を取る必要があるのかな」と思っていました。周囲に取得した男性が少なくイメージが湧かなかったのです。ですが、妻が安定期に入ったころ、社内に妊娠の件を報告する中で上司や同僚から「育休取らないの?」と声をかけてもらうことが増え、少しずつ意識が変わりました。それから制度や手当について調べ始めたことがきっかけです。
── 当時のご家族の反応は?
Sリーダー:妻は初め、少し消極的でした。復帰後の仕事について心配してくれていたのだと思います。ですが、制度を一緒に調べて話し合ううちに、お互いに前向きな気持ちになっていきました。我が家は初めての出産ですし、何が起こるかわからないからこそ身近で妻を支えたいと思い取得を決意しました。
── Iマネージャーはその報告を受けてどう感じましたか?

Iマネージャー:率直に、いいことだと思いました。自分の時代には育休を取得する男性社員はほとんどいなかったですからね。アルトナーには以前から育休制度が整っており、その点では上司としても安心して送り出せました。
Sリーダー:「3か月間の育休を取得したい」と伝えた際、Iマネージャーは「もっと長く取らなくていいの?」と確認までしてくれました。本当にありがたかったです。
丁寧な引き継ぎと上司の支援

── 育休を取得するにあたり、不安はありませんでしたか?
Sリーダー:キャリアへの不安はありませんでしたが、5月から育休を取得したので、新入社員研修の途中で育休に入ることが不安でした。自分が理想とするエンジニアマインドを伝えきれないのでは、と感じたからです。ですが、Iマネージャーが大阪に来てサポートしてくださると聞き、安心しました。私が入社したときの研修担当がIマネージャーだったんです。「技術に正直に向き合うこと」「常により良いものを追求する姿勢」―その考えを教えてくれたのもIマネージャーでしたので、こんなに心強いことはないと思いました。まさに「大船に乗った気持ち」とでも言いましょうか(笑)
── 引き継ぎはどのように進めましたか?
Sリーダー:Iマネージャーより、西日本ラーニングセンターのソフトウェア系研修担当を集めて私の育休取得と引き継ぎについて周知いただき、引継ぎの場を設定してくださいました。私の方は、業務内容を40項目ほどにまとめ、1週間かけて引き継ぎしました。手順書も作り、管理業務やデータ入力など普段見えにくい部分まで丁寧に説明しました。

Iマネージャー:私は週2回ほど大阪へ出張し、現場をサポートしました。実際に代行を担ったのはチーフの2人で、彼らが本当に頑張ってくれたと思います。育休によって一時的に業務負荷が増える面もありましたが、結果的にチーフたちが「Sリーダーの大変さがよくわかりました」「成長できました」と言ってくれて、チーム力が上がったと感じました。
── 会社としてのサポートはいかがでしたか?
Sリーダー:そもそも自分が育休を取得できるのかという思いで人事の方に相談をしたところ、予想以上に丁寧に対応してくださいました。メールでの案内もわかりやすく、復帰後には「養育期間特例(※)」についても説明をいただきました。社員一人一人に寄り添ってくれる姿勢に「いい会社だな」と改めて感じた次第です。
※養育期間特例=子どもが3歳に達するまでの養育期間中に標準報酬月額が低下した場合、養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようその子どもを養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組み
男性が育休を取得するメリット

── 育休中はどんな生活でしたか?
Sリーダー:家事全般を担当しました。朝昼晩の3食を作り、掃除や買い物もすべて私の役割です。妻が体調を崩したときにすぐ病院へ連れていけたのは育休を取っていたからこそですので、その時は「取ってよかった」と心から思いました。
── 男性が育休を取得するメリットはどんなことだと感じていますか?
Sリーダー:産後の妻を支えることができることと、子どもの成長を目の当たりにできる点です。人事の方には手続き関係で本当にお世話になりました。また、周りの皆さんも「育児頑張ってくださいね!」「業務のことは心配なく」と温かい声をたくさんかけていただきました。
Iマネージャー:誰かが抜けてもお互いにフォローし合う姿勢が自然に根づいたと思います。Sリーダーの育休取得がチームにポジティブな影響を与えたと感じています。
育休を経て変わった働き方とチームへの影響

── 復職後、働き方に変化はありましたか?
Sリーダー:子育てが始まってからは残業を減らし、定時内でいかに成果を出すかを考えるようになりました。また、自分の仕事を他の人に任せることにも抵抗がなくなったと感じます。以前はすべて抱え込みがちでしたが、今回の経験で、信頼して任せることの大切さを学びました。
── 上司として今回の経験から学んだことはありますか?
Iマネージャー:「怖くなくなった」というのが本音です。最初は正直、不安もありましたが、実際にチームで乗り切れたことで、次に誰かが育休を取っても落ち着いて対応できると自信がつきました。これから結婚や出産を控える若手社員たちは、先陣を切ってくれたと喜んでいると思います。
今後に活かすこととしては、代役を担うメンバーへのフォローをより丁寧に行うことです。また、法改正などで制度が頻繁に変わるため、上司として常に最新情報のキャッチアップが大切だと感じています。
育休取得を検討している方へのメッセージ

まずは気軽に相談してみてください。制度のこと、家庭のこと、不安は誰にでもあります。
私も最初は「取れるのかな」という気持ちでしたが、周りに話していくうちに自然と道が見えてきました。
迷っている方がいれば、ぜひ声をかけてください。私の経験が少しでも後押しになれば嬉しいです。