アルトナーの多様性を持続的な成長の原動力に─アルトナーのダイバーシティ推進の現在地
アルトナーは、エンジニア一人一人の夢をサポートする「エンジニアサポートカンパニー」を経営理念に掲げ、すべての社員が自らの力を最大限に発揮し活躍できる企業づくりを進めています。中期経営計画(’26年1月期~’30年1月期)では、ESG課題のマテリアリティとして「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を重要テーマとして位置づけ、シニアや女性、障がい者を含む多様な人財が強みを最大限発揮できる制度と風土の整備を加速しています。本記事では、障がい者雇用の推進とサポート体制の整備を担うダイバーシティチーム担当の、管理本部 総務グループ マネージャーのIマネージャーに、アルトナーのダイバーシティ推進の現在地と今後の展望をうかがいました。
(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

管理本部
総務グループ
マネージャー I.H.
40代
〈役職・年齢・業務内容等は取材時のものとなります。〉
ダイバーシティチーム立ち上げの背景

これまでもアルトナーでは、障がい者の採用について法定雇用率を遵守する形で行っていたものの、限られたリソースの中での継続的な採用活動は難しく、課題とされていました。そこで、障がい者雇用を一過性ではなく仕組みとして定着させるために2011年に立ち上げられたのが、ダイバーシティチームです。以降はほぼ毎年障がいのある方を新入社員として迎えています。
設立当初は公的機関の支援を受けながら、まずは「どの業務を、どの水準で担ってもらうのか」を明確に定義しました。反復性が高く、成果が目に見えるタスクを切り出すことで、職務設計→採用→定着のサイクルを構築しました。適切な業務の割り振りは、障がいのある方の能力を最大限に活かすだけでなく、全社的な生産性向上にも寄与します。企業にとっては効率化や社会的責任の実現につながり、障がいのある方にとっては社会の中で自身の力を発揮できる貴重な機会になります。こうして、単なる法令遵守から脱却し、人財を企業にとって重要な資本と考える人的資本経営へとつながる取り組みが始まりました。
採用から定着までの支援体制

ダイバーシティチームでは、採用・研修・定着までを一貫して支援し、安心して働き続けられる体制を整えています。
ダイバーシティチームの採用活動は、大阪府内の障がい者高等支援学校や職業訓練校、就労移行支援機関を中心に行っています。採用前に「職場実習」の機会を設け、実際の業務を体験してもらうことで、お互いのミスマッチを防ぎ安心して働ける環境づくりを重視しています。
入社後は、社会人としての基本的なビジネスマナーや挨拶をはじめ、職場でのルールを丁寧に伝える研修を行います。理解のスピードや得意分野には個人差があるため、定期的に面談を実施し、状況に応じてフォローを行っています。
また、卒業した支援学校や地域の就労支援機関と密に連携し、体調やメンタルの変化を早期に把握する体制を整えています。出勤時の表情や言動など、日々の小さな変化にも目を向け、必要に応じて支援先と情報を共有し、安心して働き続けられる環境づくりを実現しています。
特性を生かす業務設計と日々の工夫

現在、アルトナーのダイバーシティチームには31名の障がいのある社員(身体、知的、精神障がいの方で構成)が在籍しており、江坂分室(大阪府吹田市)で勤務しています。
担当業務は、アルトナー大阪本社・西日本ラーニングセンターの清掃、資料のPDF化、郵便や宅配の取次、封入・梱包、事務補助などです。各拠点の社員が使用する名刺の印刷や箱詰め、発送も、ダイバーシティチームが一手に担っています。
また、外部企業からの受託業務も拡大中です。現在は3社から、自転車のU字ロック(鍵)の検品や袋詰め、社内報の封入などを請け負っています。こうした業務は、メンバーの自立と達成感を育むだけでなく、アルトナーの収益にも直接貢献しています。今後は外部受託を増やし、会社への貢献度をさらに高めていく考えです。
日々の業務では、指示の出し方にも工夫を凝らしています。どこに座るか、誰と作業をするか、どんな作業を受け持つかなどを具体的に指示し、時間あたりどれだけの作業を目標とするかを説明(共有)したうえで業務に取り組む流れとし、理解しやすい仕組みを整えています。
さらに、仕事の意義や成果を伝えることも大切にしています。例えば名刺の作成業務では、「名刺は会社や社員の第一印象を決めるもの」として、その正確さと清潔さの大切さを繰り返し伝えることで、メンバーの意識を高め業務への責任感も育んでいます。
キャリアアップへの取り組み

アルトナーのダイバーシティチームの特徴の1つが、障がいを持つ社員の中から「監督員」と呼ばれるリーダーを任命しチームのまとめ役を担当してもらっていることです。現在は3チーム体制をとり、それぞれのチームに監督員を1名ずつ配置しています。監督員となった社員は、当日の業務内容や進行状況をメンバーに伝達し進捗を管理する重要な役割を担います。こうした経験の積み重ねによって、働くことへの主体性とキャリアアップを支援しています。
また、長期的にキャリアを描いてもらうため、正社員登用制度の整備も検討しています。現在は契約社員としての雇用が中心ですが、評価制度や賃金体系を含めた新たな仕組みづくりを進め、意欲ある社員がより安定的に働ける環境を整備していく方針です。
Iマネージャーの印象に残っている出来事として、チームのメンバーが母校の進路説明会で自分の就労体験を語る機会があったといいます。当初は人前で話すことが苦手だった社員が、堂々と自分の言葉で仕事の内容や経験を後輩に伝える姿を目の当たりにしました。メンバーが少しずつ成長し、自信をもって仕事に取り組む姿を目にして、ダイバーシティ推進に取り組んでいるアルトナーの使命を再確認する機会になりました。
アルトナーの社会的責任と今後の展望

ダイバーシティ推進は、アルトナーが社会的責任を果たすうえで欠かせない取り組みです。多様な人財が自らの力を発揮し、いきいきと働ける環境を整えることは、社会への貢献であると同時に、企業として持続的に成長していくための大切な要素です。アルトナーでは、単なる法定雇用率の達成ではなく「障がいの有無を問わず、誰もが自らの強みを活かし自律して働ける環境をつくる」という考えのもと、人的資本経営の実現に向け、ダイバーシティ推進に取り組む方針です。多様な人財が共に働く環境は相互理解を育み、多様性を尊重しながら働く風土を形成していきます。
現在、ダイバーシティチームは大阪で活動していますが、今後は各拠点への展開を視野に入れています。一部門の取り組みで終わらせるのではなく、会社全体の文化として根づかせるためには、全社展開は不可欠です。
また、アルトナーでは今後、エンジニア人員を2,000名規模に拡大する方針が掲げられています。それに伴い、ダイバーシティチームのサポート領域も広がっていく見込みです。「エンジニアを支える間接部門として、会社の成長とともに進化していきたい」とIマネージャーは語っています。
アルトナーは、すべての社員が自らの可能性を発揮し、社会に貢献できる企業であり続けます。