『FCV・EV試乗勉強会in宮城2025』レポート

「カーボンニュートラル」の実現に向け、自動車業界では電動化の流れが加速しています。アルトナーのハイバリューグループ東日本ECでは、燃料電池自動車(FCV)と電気自動車(EV)を実際に運転しながら、次世代モビリティの仕組みや特性を学ぶ「試乗勉強会」を実施しました。
普段は設計や制御といった特定の領域に関わることが多いエンジニアにとって、完成車を体感的に評価する機会は決して多くありません。今回の勉強会は、エンジニアとしての視野を広げ、ユーザー視点で技術を捉える貴重な時間となりました。

試乗勉強会実施の目的

この勉強会の目的は、FCVおよびEVそれぞれの特性や制御の違いを理解し、そこから得た気づきを日々の業務に活かすことです。
チームでの知識共有や意見交換も大きな狙いの1つであり、数値や理論だけではなく、「実際に乗るとどう感じるのか」を共有することでエンジニアとしての視野拡大を目指します。

走行ルートは、市街地、高速道路、山岳路の3つの条件から選びました。多様な走行環境を走ることで、車両の動力性能や制御特性、乗り心地を幅広く比較するための工夫です。

走行を通して実感したFCV・EVそれぞれの特徴

FCVでは、走り出しから加速までの滑らかさと、低速域からでもしっかりとした力強さが印象的でした。水素による発電が安定しており、アクセル操作に対して自然に反応するフィーリングが高く評価されました。「静かなのに力強い。滑らかさと安定感を両立している」といった意見もありました。
また、3本の高圧水素タンクを床下に配置することで低重心化を実現しており、コーナリング時の安定性も際立っていました。快適な乗り心地と操縦の安心感が共存している点が、FCVの魅力として挙げられました。

一方、EVはモーター駆動ならではのスムーズな加速と、街乗りでも扱いやすい操作性が特徴です。SUVタイプの広い車内空間も相まって、長時間のドライブでも快適に過ごせると好評でした。
「とても静かで会話がしやすい」「ワンペダル操作が直感的で、長距離でも疲れにくい」といった声が多く、モーター制御の滑らかさや減速時の自然な回生制御に対しても高い評価が寄せられました。

操作パネルの見やすさやUI(ユーザーインターフェース)については、両車とも、レンジ表示(航続可能距離表示)、エネルギー流表示の視認性が高く設計されています。いずれもユーザー中心の設計思想が感じられ、日頃の開発業務につながる学びが得られました。

インフラ面で見えた「これからの課題」

試乗中には、エネルギー補給の体験も行いました。FCVにおいては、イワタニ水素ステーションでの充填がわずか3分ほどで完了しました。短時間で走行を再開できるスピード感は、ガソリン車に匹敵する利便性が感じられます。短時間充填はFCVの大きな利点ではあるものの、水素ステーション数が限られているため、長距離走行時には事前のルート計画が不可欠です。FCV普及のためにはインフラの拡充が普及の鍵になるとの意見も上がりました。

全体を振り返って

今回の試乗勉強会は、社員同士が積極的に意見を交わし、体験から学びを掴み取る姿勢が印象的でした。また、これまで性能数値や仕様比較が中心だった議論から一歩踏み込み、「体感としてどうか」「ユーザーにとって快適か」という観点を重視する姿勢が大切であると学びました。
今回の試乗勉強会で得たユーザー視点を、今後の制御設計・UI開発・機能提案に生かしたいと思います。

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