IT技術と向き合い、上流工程を任されるITエンジニアへ成長しました
入社5年目のKさんは現在、精密機器メーカーで工業用ロボットに取り付けるカメラ本体と、その映像をもとにロボットを動かす制御ソフトウェアの開発に携わっています。製造ラインで人が目で判断していた作業をロボットが自律的に判断できるようにする「IT×ロボット」の最前線に立つ仕事です。本記事では、KさんがIT分野でどのような業務に携わり、どのように技術の幅を広げながらより上流工程を任されるエンジニアへと成長してきたのかをご紹介します。
(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

ハイバリューグループ
ソフトウェア K.S.
理工学部 情報理工学科
2021年新卒入社 20代
〈役職・年齢・業務内容等は取材時のものとなります。〉
工場の生産性向上とコスト削減につながるロボット開発に携わっています

Kさんは現在、精密機器メーカーで産業用ロボットに取り付けるカメラ本体と、映像をもとにロボットを動かす制御ソフトウェアの開発を担当しています。工場ではロボットによる自動化が進んでいますが、部品が毎回同じ向き・同じ位置にあるとは限らず、箱にバラバラに入っていたり緩衝材が混ざっていたりと状況が一定ではないことがほとんどです。そのため、人の目と判断に頼る場面が多く残っています。
そこで必要となるのが、カメラによる認識と、その情報にもとづいて動きを判断するロボットビジョンの技術です。Kさんはこの領域で、人が見て判断していた作業をロボットに代替させ、生産性向上やコスト削減につなげる技術開発に取り組んでいます。
試行錯誤の末にロボットが思い通りに動くと達成感を感じます

ロボットアームを動かす制御ソフトの開発では、「このコードならこう動くはずだ」と仮説を立て、実機で検証しながら微調整を重ねていきます。しかし、意図した方向とは違う動きをしてしまうことも珍しくありません。試行錯誤の末に狙いどおりに動いた瞬間には、「この領域を理解できた」と実感でき、大きな達成感があると話します。
Kさんは、2年前のインタビュー時にはすでにエンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格しており、ロボットや機械を動かすための制御構造や処理の考え方を体系的に学んでいました。この知識は現在の業務でも大きく役立っており、ロボットがどのような情報にもとづき、どんなアルゴリズムでその挙動に至ったのかを読み解く際の土台になっているといいます。学んだ知識と実務経験を組み合わせることで、「なぜその動きになるのか」を筋道立てて理解し、改善につなげていく力がより身に付いてきたと感じているそうです。
さらにKさんは、より広いIT基盤についての理解を深めるため、2024年秋にはデータベーススペシャリスト、2025年春にはネットワークスペシャリストにも挑戦し合格しました。2年前のインタビューで「どの配属先でも、自分の知見をもとに付加価値を提供できるエンジニアになりたい」と語っていたKさんですが、その目標のためにまた1歩近づいたと実感しています。
現在では次の開発機種の仕様書作成にも参加し、要件定義や機能間の挙動整理など、より上流の工程を任されるようになっています。「検証担当にとどまらない価値を提供できるようになってきた」と実感しています。

(2023年 取材時の写真)
アルトナーの情報提供がITエンジニアとしてのキャリアをサポートしてくれました
入社して5年目を迎えるKさんが感じているアルトナーの魅力は、大きく分けて2つあるといいます。1つは、キャリアの方向性を考える際に、営業担当者やエキスパートから業界の最新情報を提供してもらえることです。
たとえばAI分野の高度資格である「日本ディープラーニング協会 E資格」の取得に挑戦した際には、人工知能を扱える人財のニーズが高まっていることや、物体認識・自律判断といったAI技術への注目度をエキスパートから教えてもらったそうです。こうした情報は、Kさんが身に付けるべきスキルを選択するうえで大きな指針になりました。実務だけでは得られない幅広い情報を継続的に得られる点は、「エンジニアサポートカンパニー」を掲げるアルトナーならではの強みだと感じています。
もう1つは、メンバーそれぞれが熱中できるものを持っていることです。仕事はもちろん、趣味にも本気で取り組む仲間が多く、マラソンやボルダリングを通して「どう改善すればもっと上達できるか」を探る姿勢からは、新しい気づきや刺激を日々もらっているといいます。
Kさん自身は、極小サイズで複雑に変形するプラモデルづくりに没頭中です。精巧な仕組みを読み解きながら組み上げていく作業は、エンジニアとしての視点にも通じています。
ITとは「人の暮らしに新たなスタイルを提案するもの」だと考えています

KさんはITを「人の暮らしに新たなスタイルを提案するもの」だと捉えています。工場の自動化のように、これまで人が判断していた作業を機械に任せられるようになることで、人はより創造的な仕事や人にしかできない業務に時間を割けるようになります。こうした働き方や生活の変化を生み出す技術こそが、Kさんの考える「IT」です。
また、モノづくりに携わるエンジニアの多くは、担当する工程が違っていても広い意味でITに関わっているとKさんは考えています。仕様をつくる人、製品を組み立てる人、動作を検証する人―それぞれ工程やタイミングは異なっていても、「技術によって人の生活スタイルをより良くする」という目的は共通しています。ITは特定のスキルや役割に限定されず、モノづくり全体を横断して価値を生み出すものであり、それがITの持つ最大の利点であるというのがKさんの考えです。
ITエンジニアに求められる力としてKさんは、「物事の仕組みや手順・フローを正確に把握する力」と「その仕組みにおける問題点や改善点・学ぶべき点などを見つけ出す観察力」の2つが重要だと考えています。現状をなぞるだけではなく、「こう変えればもっと良くなる」という付加価値を提案できることが、ITエンジニアとして活躍するための鍵になると語っています。
これからエンジニアを目指す方へ

エンジニアの基本としてまず大切なのは、現状を正しく理解し、自分の中で整理していく力です。どこに課題があるのか、どう改善できるのかといった視点も付加価値を付けるうえで必要ですが、その前提として「いま起きていることをきちんと把握すること」が欠かせません。そのうえで、自分が理解した内容をどうアウトプットするかが重要になります。プログラムとして書くにしても、仕様書としてまとめるにしても、自分の言葉で構造的に表現できることが求められます。こうした力はエンジニアになってからでも十分に身に付きますが、学生のうちから意識しておくと大きな強みになり、将来大きな武器になります。