より高性能な全固体電池の開発に向け、材料の検討から分析・設計まで幅広く携わっています
2021年にアルトナーへ入社したHさんは、自動車メーカーでFCV(燃料電池自動車)の性能・耐久試験や全固体電池の研究開発を経験し、現在は電池の材料や開発に関わる企業で、全固体電池の研究開発に携わっています。異なる配属先で経験を重ねる中で、知識や仕事の幅も広がってきました。今回はHさんに、全固体電池という先端分野での仕事と、これまでの経験を通じた成長についてうかがいました。(取材・記事執筆:アルトナー取材班)

機械 エキスパート補佐 H.H.
大学院 自然科学研究科 数理物理科学専攻
2021年 新卒入社 20代
〈役職・年齢・業務内容等は取材時のものとなります。〉
様々な業界を経験し、自分の可能性を広げたいと考えました

Hさんは高等専門学校の機械科に在籍し、応力解析系の研究をしていました。解析の理論を学ぶには数学の知識が必要だったため、大学の数学科に編入し、大学院まで進学しました。学生時代は組み合わせ論の箱玉系について研究し、難解な理論について1日中黒板と向き合いながら試行錯誤したことが印象に残っているといいます。
もともと全国高等専門学校ロボットコンテストや鳥人間コンテスト選手権大会を見ることが好きだったHさん。チームで1つの目標に向かってモノづくりに取り組む姿に興味を持ったことが、エンジニアを目指すきっかけになりました。
学生時代からエンジニアになりたいという思いはあったものの、具体的な業界までは決めていませんでした。1つの業界に限定せず、様々な業界を経験しながら自分の可能性を広げたいと考えていた中で、技術者派遣という働き方が自身の希望に合っていると感じ、アルトナーへの入社を決めました。
高専で学んだ機械分野の知識を忘れていないか不安もありましたが、新入社員研修で材料学や力学系の基礎、CADなどを学び直し、研修を通して必要な知識を思い出すことができたそうです。
自動車メーカーで、FCVの性能試験・全固体電池の研究開発を経験しました

入社後、最初は請負・受託グループに所属し、自動車メーカーのFCVの性能・耐久試験に携わりました。燃料電池システムを検査装置に接続し、稼働中の試験値を確認しながら正常に動作しているかのチェックを主に担当しました。異常が見つかった場合には、その原因を突き止めていくことも業務の1つでした。
入社したばかりのHさんにとって電気系の知識も必要となる新たな技術分野への挑戦でしたが、わからないことはアルトナーの先輩に聞きながら業務に取り組み、仕事の流れや効率よく進めるための段取りも学びました。
その後、同じ自動車メーカーへ配属され、車載用の全固体電池の研究開発に携わったHさん。セパレータ層の設計から試作、評価まで一連の業務を経験し、成果報告や試作検証の提案など、業務の幅も広がりました。すでに進行しているプロジェクトに後から加わったため、それまでの経緯を確認し、配属先の社員の方と認識をすり合わせながら仕事を進めることを意識したといいます。
※全固体電池とは、リチウムイオン電池で使われる電解質を、液体ではなく固体にした次世代電池であり、安全性や長寿命化、充電時間の更なる短縮などが期待されているものです。
様々な分野の知識を身につけ、エンジニアとして成長しています

Hさんは現在、2社目である電池の材料や開発に関わる企業に配属されています。より高性能な全固体電池の開発を目指し、材料の検討・作製から性能評価まで携わるほか、分析や設計にも関わっています。電気・電子や機械だけでなく、化学など様々な分野の知識が求められる現場で日々技術を磨いています。学生時代には学ばなかった領域まで踏み込んで知識を身につけられることに、仕事の面白さとやりがいを感じているそうです。
より幅広い仕事を任されるようになった背景には、Hさんが日々大切にしてきた姿勢があります。与えられた仕事を確実に終わらせて迅速に報告するとともに、求められた結果だけではなく、自分で追加して試したことや気づいたことも報告するよう心掛けてきたことが評価につながったのではないかとHさんは考えています。
仮説を立てて検証する力を、研究開発に活かしています

Hさんが携わる全固体電池の研究開発では、既存の手法だけでは対応できず、新しい方法を検討する場面もあるそうです。こうした場面で、学生時代の数学研究で培った「仮定を立て、その仮定が正しいかを証明する」というアプローチが活きているとHさんはいいます。
たとえば、電池を作る工程では、材料を一度液状にし、箔に塗布して乾燥させ、シート状にします。使用する箔には金属やPETフィルムなど様々な種類があり、目的に応じてどの箔を使うのがよいかを検討します。開発の初期段階では複数の方法を実際に試し、それぞれの結果を比較しながら次の検証につなげていきます。仮説を立て、検証し、その結果から次の仮説を考えるという進め方に、数学研究との共通点を感じるそうです。また、予想した結果が得られなくてもそこで立ち止まらず、次の方法を試そうと気持ちを切り替えられる姿勢も、研究や業務を通して身についたとHさんは語っています。
異なる配属先を経験し、仕事の進め方の幅も広がりました

Hさんが2社の配属先を経験して感じているのは、企業によって仕事の進め方や考え方、雰囲気に違いがあることです。配属先が変わることで、知識だけでなく新しい環境に臨機応変に対応するスキルが身についたと感じています。また、前の配属先で経験した仕事のフローや、結果を出すために取り組んだ方法を現在の配属先の規模や状況に合わせて応用できるようになりました。
配属先が変わってもてもHさんが大切にしているのは、立場にかかわらず積極的にコミュニケーションを取る姿勢です。周囲には高い専門性を持つエンジニアが多く、専門知識はもちろん、仕事への向き合い方や人との接し方などの人間力を学ぶ機会も多く、よい影響を受けているそうです。
AIを活用しながら、周囲の成長も支えられるエンジニアへ

Hさんは、物理を学んできたエンジニアの強みは、AIやMI(マテリアルズ・インフォマティクス)が導き出した結果を物理現象に照らして正しく判断できることだと考えています。自身もChatGPTを資料整理や知識の検索などに活用しています。AIから必要な知識を引き出すには、プロンプトが重要なため、それにはC言語やJavaなどのプログラミング知識が役立つと感じています。
今後は、自分の知識や技術を磨くとともに、自分のチームで働くメンバーのスキルアップも支えていきたいと考えているHさん。社会で活躍できるエンジニアを育てられる存在になることが目標です。5年後には国家資格である技術士への挑戦も視野に入れ、周囲に恥じないエンジニアを目指したいと語ってくれました。
同じ職場のアルトナーのエンジニアとは、食事や雑談を楽しむなど、和気あいあいとした関係を築いています。プライベートでは車で観光地や博物館、水族館などに出かけ、普段とは違う場所で刺激を受けることを楽しんでいます。
エンジニアを目指す方へのメッセージ
エンジニアと聞くと難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、必要なスキルは仕事を始めてから身につけられます。少しでもエンジニアの仕事に興味があれば、まずは飛び込んでみることで、そこでしか得られない経験につながるかもしれません。